みなさま、こんにちは!
暖かいから暑いと感じる日が増えてきましたね。
てんとう虫や蝶もみかけるようになり、すっかり春、いえもう初夏の足音を感じるようになりました。
今しばらく巣ごもりが続く私たち。
日が長くなり過ごしやすい気温になってきたことで少し気分が明るくなりますね。
さて、今回は引き続き芽摘みについて。
樹種は杜松です!
新芽が盛んに伸びる杜松。
しっかり手入れして理想の樹を目指しましょう!
今回はこちらの杜松をお手入れしていきます。
ポイント1
輪郭に沿って新芽をすべて摘む
棚の輪郭や全体でのバランスをしっかりみながら摘んでいきましょう。
摘み方はこんな感じです。
輪郭から飛び出す部分の芽を根元から摘んでいきます。
Before
After
次は全体を見てみましょう。
<Before&After>
頭部分
左肩部分
右肩部分
見比べるとしっかり摘んでいるのがわかりますね。
さっぱりしました!
ポイント2
摘むと空間ができてしまうところ・「かさ」が欲しいところは先端だけ摘む
こちらの写真のような箇所ですね。
先端だけ止めることで、長さを稼ぎつつ枝分かれもするようになり一石二鳥です。
今後棚を作りたい、長さがほしいところはこのように先端だけを摘むようにしておきましょう。
芽全体でなく、先端の葉だけちょびっとつまんで摘みます。
ピンセットで指し示している先の2芽が先端だけ摘み終わった芽です。
左隣の摘む前の芽と比べると半分くらいの長さになっています。
すぐ下の完全に積んだ芽と比べると長さが残っており、結果、輪郭が揃っているのをお分かりいただけるでしょうか?
写真だけではお伝えしにくいのですが、ここを完全に積んでしまうとでこぼこになってしまうのです。
ポイント3
伸ばしたいところは「摘まない」というチョイスもあります。
①枝棚の長さがもっと欲しい時は、棚の内側は摘んで、端の葉は摘まずに伸ばしておきます。
②そもそも棚がないところに枝を作りたいときは、求める長さになるまでの間伸ばし続けます。
③枝に力がないと感じる場所も、芽摘みをお休みしていったん力をつけてやります。
今回はそれに当たる処理をする必要のあるところがなかったので写真がないのですが、作業前の写真でやたら飛び出した枝があるのは、前回そういう処理をした結果です。
◎杜松の芽摘みはなかなか大変な作業ではありますが、その分目指す樹形までの仕上がりが早いですし、摘む・摘まないの選択次第で自在に樹形をコントロールできるので、作り込みに適した樹種とも言えます。
しっかり整えていきましょう!
ポイント4
ハサミで切るときには注意を!
1.角度に注意!
新芽を摘まずに伸ばしたところは枝にちかいくらいしっかりしています。
ピンセットで整えるのは難しいのでハサミを使っていきましょう。
ここで大切なのが切り方です。
<良い切り方>
葉の角度に沿うように斜めにハサミをいれます。
葉を切るのは厳禁!
<悪い切り方>
葉の角度に合わせず、枝に垂直にハサミが入っていますね。
葉もはさんでいます。
ダメ!絶対!!
杜松も真柏と同じように金属を嫌うので、葉を切ってしまうとあとで茶色くなってしまいます。
2.軸を残すように切る
葉のすれすれで切ってしまうと枯れてしまうことがあります。
2つの写真を見比べてみましょう。
<良い切り方>
切り口のあたりに軸が残っています。
<悪い切り方>
軸がほとんどありません。
これでは葉が枯れてしまいます。
ここまでくると、こんな感じに仕上がります。
ちなみに、芽摘み前の写真をもう一度。
これを見ると頑張った甲斐があったな!と思いますね。
しかし!!
まだまだ終わりません。もうひと踏ん張りいたしましょう。
!!注意!!
ここからご紹介するのは1回目の芽摘みの際のみ行う作業です。
松でいう古葉取りのような作業で、古い葉や詰まってところの余分な芽を取り除き透かしていきます。
なぜかというと・・・
①伸ばしたい芽に注力することができる
②風や光が内部まで届きやすくなり、新しい芽が吹きやすくなる
環境を整えることでしっかり成長してもらいましょう!
<Before>
枝が見えないくらい芽や葉が詰まっています。
<After>
写真のアングルが違いますが、中の枝が見えていますね。
これくらい透いておくと良いでしょう。
なお、杜松の芽摘みスケジュールはこんな感じです。
1回目 GW~6月頃
2回目 梅雨明け前の6月末~7月中頃(空かす作業はしない)
3回目 9月末~10月中頃まで(3回目は元気がある樹のみでOK。もちろん空かす作業もしません)
いかがでしょうか?
なかなか大変だな~と思われた方もいらっしゃるかと思います。
でもここでくじけないでください!
実は杜松には「シャリを洗う」と「石灰硫黄合剤を塗る」の2ステップがまだ残っているのです。
大樹園では一回目の芽摘みと一緒に行うこともありますが、まとめてやる必要はありません。
幹を洗うのは年に一回程度。
せっかく杜松を取り上げたことですので近日ご紹介したいと思います!
◎最後にシャリ洗いと石灰硫黄合剤での仕上げを終えた姿がこちら!
杜松は手入れが大変ですが、綺麗に整うと気持ちがいいですね!