みなさま、こんにちは。
からっと晴れた日の合間に梅雨の気配を感じるようになってまいりました。
梅雨入りは盆栽屋としては水やりの手間が減り、助けになっております(笑)
日差しと雨でしっかりパワーを蓄えた木々。
繊細さ、雄大さ、それぞれ良さを目指すために日々の手入れを怠らずにいましょう。
というわけで、今回は葉刈りについてご紹介いたします。
葉刈りの作業が必要な代表的な樹種、かえで・けやき・もみじを取り上げていきます。
〇かえで〇
こちらのかえでを手入れしていきます。
ポイント
かえでは軸が長いのでハサミで作業します。
5月の今時期に行う1回目の葉刈りではすべての葉を取ります。
2回目、3回目では内側の葉は残し、外側のみを葉刈りします。お間違いないように!!
Step1.まずは輪郭に沿って葉刈りする
柄を少し残しているのがわかるでしょうか?
これくらい残して切っていきます。
<輪郭に沿って葉を取り除いた後>
Step2.すべての葉を取り除く
遠慮はいりません!
丁寧さは忘れず、すべて取り除きましょう。
(ただし、あまりに弱いなと感じる枝は残しておいてもいいです)
<すべて葉を取った様子>
Step3.方向が悪い、いらない枝を取り除く
裸の時でないと枝の様子を判断できないので、今のうちに剪定してあげます。
上の写真と比べると洗練された印象になりましたね。
〇けやき〇
こちらのけやきを手入れします。
ポイント
けやきは枝に直に葉がついていますので手でむしっていくのがよいでしょう。
細い枝は根元をしっかり持って、手でひっぱりましょう。
繰り返しますが、2回目、3回目では内側の葉は残し、外側のみを葉刈りします。お間違いないように!!
<枝についている葉の様子>
Step1.すべて葉刈りする
Step2.方向が悪い・いらない枝を整える
これだけの葉を取るとなるとなかなか大変ですが、丹念に葉刈りを行いましょう。
〇もみじ〇
お手入れするのはこちらのもみじ。
ポイント
もみじは「片葉刈り」をしていきます。
写真のように枝に対して2枚葉がでてくるのがもみじの特徴。
その2本出るうちの1枚をこれくらい柄をのこして切ります。
切るのは、2枚を見比べ、下のような特徴があるものを切りましょう。
①葉が大きい ②枝が長い ③重なっている
こうすると風や光が通りやすくなります。
また、盆栽らしく小さくまとまるように力のバランスをとることもできますね
くどいようですが、2回目、3回目では内側の葉は残し、外側のみを葉刈りします。お間違いないように!!
Step1.ポイントの通りに片葉刈りする。
<Before>
上から見た様子。
中の枝は全くみえず。葉が詰まっていますね。
<After>
葉刈りをした後。
全葉刈りする、けやきやもみじと比べると物足りない感じがしますか?(笑)
ご安心ください、つぎは余分な枝を取り除きます。
Step2.方向が悪い枝・いらない枝を取り除く
横から見るとこんな感じです。
すっきり!!
Step3.さらに輪郭や枝を整える
完成!!
★ここで一つ豆知識★
なぜもみじは全葉刈りではなく片葉刈りなのでしょう?
もみじを全葉刈りすると芽がたくさん出すぎてしまいます。
芽がたくさん出てしまうと
=枝がごつく、ぼこぼこになる。
=葉がが密集して内側の枝の枝がれにつながる。
=>もみじは冬季の落葉した後の姿で繊細に柔らかく枝分かれした姿を楽しみたいものです。
こういう理由で片葉刈りをしています。
いかがでしょうか?
すべてに共通することですが、なぜ葉刈りが必要なのか?
①葉がなくなることにより新たな芽吹きを促し、小枝を増やす効果があります。
②2回目以降の葉狩りでは、①に加え内側の弱い枝を助ける効果があります。
いずれの樹も葉刈りの数週間後にまた新芽が出てきます。
春先に行ったのと同じように芽摘みを行い、枝が伸びすぎるのを防ぎましょう。
このように、シーズン中に芽摘み・葉刈りを2~3回繰り返し盆栽らしい枝葉を作り上げていきます。
葉刈りのスケジュールはこんな感じ。
1回目 GW前後~(かえで・けやきは全葉狩り。もみじは片葉刈り)
2回目 梅雨明けの7月初旬くらいまで(内側の葉は残し、輪郭のみを葉刈りする)
3回目 9月中頃~(3回目は元気がある樹のみでOK。2回目同様に内側は残し、外側を葉刈り。)
※ただし、2回目以降の葉刈りをすると、紅葉を楽しみにくくなります。
木づくりを優先するか、紅葉鑑賞を優先するかは悩みどころです。