2021/10/12
「盆栽選び」の考え方

みなさま、こんにちは。

…いえ、お久しぶりです。

緑風展に足を運んでくださったみなさま、ありがとうございました。

お天気も良く、楽しんでいただけたと自負しております!!

 

さて、緑風展でも然り、盆栽展に行くと即売会場があることも多いと思います。

今回はその際の「盆栽選び」に参考になりそうなお話を。

今回はちょっと長めの記事になってしまいましたがお付き合いください。

盆栽をどう楽しむか?

楽しみ方は人それぞれ。

まずはそこがポイントです。

 

大きく分けて二つかなと思っております。

A.美しい姿を楽しみたい!

B.育てたい(作り込みたい)!

 

この2タイプは「盆栽を楽しむ」という目的は一緒でも、木を選ぶ際の視点が大きく違ってきます。

特に見ている時間軸は全く違います。

①「今現在」のかっこよさ、美しさを求めるのがAタイプ。

②数年後、数十年後の「将来」のかっこよさ、美しさを求めるのがBタイプです。

 

Aの場合は既に姿形の整った完成品から購入したいものを選びましょう。

Bの場合、もちろん完成品も購入対象ですが、荒削りの素材でもキラリと光る魅力的なポイントを感じれば購入候補になりますね。

 

◇タイプ別に購入時の選び方のポイントを解説します。

A.美しい姿を楽しみたい!

というのが目的の方は、最初から整ったものを購入するのがベター

部屋で眺めて癒されたい、季節を感じたい、インテリアとして…こんな感じです。

もちろん、水やりという基本的なお世話は日々必要です。

しかし、すでに整ったかっこいい姿になったものなら、1鉢手元にあるくらいでは毎日ハサミでチョキチョキしたりはしなくても大丈夫。

 

樹種の選び方はざっくりこんな感じ↓

◎重厚感、カッコよさ→松柏

◎花や実がある→実物、花物

◎四季を感じる→実物、花物、雑木

◎手入れが簡単→雑木

◎水やりが楽(他と比べて)→真柏や五葉松

 

好みのポイント見つけて、ぴったりの姿のものを選んでみてくださいね。

 

2.育てたい!

こちらは自分で作りこむ、いずれは展示会に!という感じ。

言うなれば

◎「将来性」を楽しむ

◎作り甲斐を楽しむ

ということ。

 

即売会ではその「将来性」を見極めるのが大切です。

そこで素材を選ぶときのポイントをいくつかご紹介していきます。

 

1.傷の有無

無いのが一番ですが、あってもいいんです。

◎治りそうかどうか

◎傷が逆に味になるか

ここをポイントに見てください。

目立ちすぎたり、枯れてしまう心配がありそう、いつまでも残ってしまいそうなものは避けておきましょう。

傷があると値打ち品になりやすいという利点もあるので、ご自身で楽しむ場合は選んでもいいと思います。

(展示会には不向きなのです…)

 

あるいはその傷が「なんかかっこいい!」と思えればそれでOKです!

(この「なんかかっこいい」が愛着をもって育てていくために大切だったりするんです。)

 

2.樹形・枝付きのバランス

完璧な木というのは存在しませんが、やはり程度があります。

・太くなりすぎ

・こぶになっている

・枝が変なところからでている

・枝が極端に少ない

◎上のような症状があり、育てていくうちにカバーできそうにない枝ばかり

これは将来性が薄いと言えます。

 

こちらはその具体例。

じゃーん!こちらの黒松!

幹が古くてかっこいいですよね。

かっこいいのでアップも載せます。

 

しかし…上から見ると枝の強弱がバラバラです。

内側に芽もなく、間延びしています。

欠点も多いですが枝はたくさん残っているので、樹勢を乗せた状態で切り込み&針金かけを行えば胴吹きも期待でき、十分作りこんでいけると思います。枝元に芽接ぎをかけてもいいですね。

 

逆に枝が混んでおらずパラパラなものは今後カバーしにくいのです。

いろいろな角度からしっかり確認して選びましょう。

これを作りこんでいくのを楽しめそう、この幹が大好き!と思える方は選んでもいい一品です。

 

3.幹(特に松柏)

幹はある程度太くなると替えが効かない部分です。

枝はどうにかなることも多いのですが…

特に松柏というのは難しいです。雑木の場合はなんとか作り直すこともできますがそれでも長い時間のかかる大仕事。

枯れることもあるので一気に直すことはできません。

それを踏まえ、下のようなポイントを見てくださいね。

 

◎こけ順が良い(根本が太く、上や先端ほど細くなる)

◎根細りはNG

◎まっすぐすぎる

◎バランスが悪い

◎片根など根張りが極端、汚いものはNG

 

こちらのケヤキ。

枝の一部が枯れています。ぱっと見、大丈夫かな?という感じがします。

 

しかし幹は太くて立派ですね。

作り直せば出世しそうな古い荒れ具合も期待大です。

雑木は切り戻して作り直すことが可能です。当然数年の月日を必要としますが。

この幹に惚れこむことができれば作り直していく過程も楽しめる一品です。

 

4.古いかどうか

これは本当にどうしようもないポイントです。

古さだけは早く出す方法がありません。

特に松柏では皮性や荒れ方は盆栽としての格好良さを左右する大きな部分。

松柏以外でも重視する必要があります。

 

上のケヤキの例でも、「古さ」があるのが利点でした。

欠点があってもそれを優る良さ、つまり「古さ」があるのです。

もし同じような木で迷った場合は古いほうを選ぶのがベター。

 

1~3でいろいろな欠点となる部分を挙げました。

しかし、それに該当する箇所がたくさんある場合でも、古ささえあれば、将来的に仕上がったときに、風格ある素晴らしい姿を見せてくれる可能性があります。

 

冒頭の「A.美しい姿を楽しみたい・B.作り込みたい」の大きな違いはここでしょうね。

今を見ているか、先を見ているか。

どちらが良い悪いではなくどちらのタイミングで楽しみたいかということです!

 

5.葉性

葉性はその木が生まれ持って持ち合わせているDNA的な部分。

そのまま育てていても大きく変わることはありません

もし変えるとなれば継ぎ替えるしかないのです。

継ぎ替えて作り直すというのは5年以上はかかる大仕事で簡単ではありません。

品種ごとではなく個体差があるので好みのものを選びましょう。

 

葉性の着目点はこちら

◎もみじ 大きさ・色・形が好みでない

◎五葉松 葉が短くならない

◎五葉松・黒松 まっすぐすぎる・堅い・芽が出やすい・くちゃくちゃした形の葉

◎真柏 糸魚川真柏などが人気ですが細かくなりやすい種です。

細かすぎると棚が密になりにくいので注意。

 

着目点と言いましたがこのような特性が自分の好みであれば選んでいいんです!

最終的に国風展を目指したいと言うのであれば欠点のほぼない素材入手すべきかもしれませんが当然そんな木ばかりではありません。なにか一つでも一目惚れしてしまうような要素があれば、それを活かした樹形づくりをしていけばいいのです。「なんとなくかっこいい」が大切なのです。

 

6.まとめ

いろいろと申し上げましたが、一番大事なのは自身がどれくらい時間と愛情をかけて育てていけるかです。

理想の姿にするまでには5年どころか数十年、あるいはそれ以上かかることもあるのが盆栽の世界。

育てたい方はかけられる時間を計算しておくのも大切です。

どうあがいても人間の方が寿命が短いので仕方がないことですね…

難しそうだと思う場合はある程度出来上ったものを選ぶことで近道になります。

 

愛情に関して言えば「なんとなくかっこいい」と、感じお気に入りになるポイントがあること。

なかなかうまくいかなくても、欠点はあれど「ここ(幹が、枝が、根など)がとにかく素晴らしい」「大好きなんだ!」というポイントがあれば、手がかけられるものです。

 

◇余談1

一般的に雑木の方が直しやすく、松柏は直しにくい傾向にあります。(雑木でも梅のように切り戻しにくい樹種は別ですが)

松柏を選ぶ場合は特にふところ枝が残っているものを選ぶといいでしょう。

 

◆余談2

展示会に出したい、賞を取りたい人はサイズにも気を遣うのをお勧めします。

大・中・小・ミニ・豆…など賞はサイズ別になっています。

サイズの境目になるような場合はそれが有利に働くかどうか考えてみましょう。

 

例:小さめの大物、小さめの中品→ほかの作品と比べ迫力に欠けてしまう

 

大物でドーン!と大きいのはやっぱり迫力があるというのはお分かりいただけますよね。

当然、大きければいいというわけではありません。

それでも中途半端なサイズは大きさによるインパクトで負けてしまうのは否めないのです。

 

 

いかがでしょうか。

次に買い足されるときに参考にしていただければ幸いです。

即売会場に大樹園がいる場合にはお気軽にご相談くださいね!